部門紹介

診療部門 高気圧酸素治療

高気圧酸素治療とは

 大気圧よりも高い気圧環境のもとで、高濃度の酸素を吸入する治療を『高気圧酸素治療』と言います。
 血液中の酸素量を増加させ、種々の疾患を治療する特殊な治療法です。

 血液中の酸素には、ヘモグロビンと結合する「結合型酸素」と血液(血しょう中)に溶け込む「溶解型酸素」が存在します。

「結合型酸素」: ヘモグロビンと結合する酸素です。ヘモグロビンは人によって量が決まっているので、ヘモグロビンと結合できる酸素の量には限りがあります。従って、高濃度の酸素を吸入しても、気圧を高くしても一定量以上には増えません。
「溶解型酸素」: 血液(血しょう中に)に溶け込む酸素です。気圧が高ければ高いほど多くの酸素が血しょう中に溶け込みます。

 大気圧よりも高い気圧環境のもとで、高濃度の酸素を吸入すれば、血液中の「結合型酸素」が一定量まで増え、「溶解型酸素」は多くなります。
高気圧酸素治療を行えば、血液中の酸素の量が増加することとなります。

治療(高い気圧のもとで血液中の酸素の量を増加させること)の
効果と適応疾患

1 組織への酸素供給を増やし、血流障害による組織の低酸素状態を改善させます。

 適応疾患: 急性一酸化炭素中毒、急性末梢血管障害、ショック、急性心筋梗塞、脳塞栓、低酸素性脳機能障害、網膜(もうまく)動脈閉塞症、突発性難聴など

2 加圧によって身体にたまったガスの体積を小さくします。

 適応疾患: 空気塞栓症、腸閉塞(ちょうへいそく)など

3 増えた酸素から発生する活性酸素による殺菌作用を利用します。

 適応疾患: ガス壊疽(えそ)などの重症感染症など

当院の高気圧酸素治療について

 「高気圧酸素治療装置」と呼ばれる治療装置の中に、ベッドに横になったまま入ります。装置内は100%の酸素を使用して加圧を行うので、発火のおそれがあるものは持ち込めません。そのため、専用の衣類と下着以外の着用・持ち込みを禁止しています。治療前に持ち物のチェックやボディチェックにご協力いただき、安全を確認してから治療を開始します。

高気圧酸素治療装置

当院の高気圧酸素治療の流れ

  1. 病室で専用の衣服・下着に着替えていただきます。
  2. 看護師が持ち物チェック、ボディチェック、バイタルサインの測定を行います。
  3. 治療室に入室しベッドに横になっていただきます。
  4. 臨床工学技士が最終チェックを行います。
  5. 体調の確認、治療の説明、耳抜きの説明等を行い、心電図をつけます。
  6. 治療装置に入っていただき、治療を開始します。
    治療装置の操作は担当の臨床工学技士が行います。治療中は治療装置内の声が外に聞こえていますので、何かありましたら臨床工学技士にお伝えください。
  7. 治療終了後、治療装置から出て吐き気、頭痛、耳痛など副作用等がないか確認し、治療終了となります。

当院の治療時間と治療装置内の気圧

 治療は、治療装置内の気圧の「加圧」→「維持」→「減圧」で行います。

  1. 加圧:15~20分かけて、治療装置内の気圧を大気圧(1気圧)から2気圧まで上げます。
  2. 維持:2気圧まで上げると60分間その状態を維持し、治療を行います。
  3. 減圧:60分後、15~20分かけてゆっくりと大気圧(1気圧)まで気圧を下げます。

 全体で90分程度の治療時間となります。1日1回の治療を7日間行います。

PC版を表示