風疹について
今年に入りニュースなどで風疹の流行を耳にした方も多いのではないでしょうか?
5月のピーク時には1週間に700人近いペースで増えていた風疹の患者数は、7月には半分以下に減りました。しかし、例年と比べると依然、患者数の多い状態は続いています。そこで、風疹についてご紹介します。
●感染経路
感染者の咳やくしゃみなどで飛ぶ体液が、他人の粘膜に付着して感染します。(飛沫感染)
●症状
感染から14~21日の潜伏期間を経て、発熱、発疹、リンパ節腫脹(特に首と後頭部)が出現します。発熱に関しては約半数にみられる程度で、発疹も3~5日で消失します。合併症は、脳炎、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などありますが、ごく稀です。
●診断
最も確実なのは鼻やのどからウイルスを見つけることですが、この方法は難しいため、血液検査で風疹に対する反応が起きている抗体がないか測定します。
●治療
風疹自体は症状も強くなく、自然治癒します。そのため発熱や関節炎に対して解熱鎮痛剤を用いる対症療法のみです。
●予防
前述した通り、風疹の症状は強くありません。しかし、合併症にはリスクがあるため予防が大切です。弱毒株ウイルスを接種し風疹ウイルスに対する免疫を得ることができます。現在は麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が定期の予防接種に用いられています。
先天性風疹症候群
妊娠20週頃までの女性が風疹ウイルスに感染すると、お腹の赤ちゃんの目、耳、心臓に障害がでる可能性があります。妊娠を希望する女性だけでなく周りの家族も感染には注意が必要です。
風疹は1度かかると、多くの場合、生涯かかることはないと言われています。しかし、子どもの頃に感染した記憶があっても「はしか」や「リンゴ病」などを風疹だと勘違いしていたということも少なくありません。また、予防接種を過去に受けていても1回の接種では確実に抗体ができていないこともあります。期間によっては予防接種をうける機会がなかった、あるいは1回しかうける機会がなかった方もいます。
風疹自体はは決して怖い病気ではありません。しかし、流行は続いていますので注意は必要です。心配な点がありましたら、内科医の方にご相談ください。
参考:国立感染症研究所 HP
NHK NEWS WEB
文責:検査部診療放射線科 為廣紗笑加