令和5年度 荒木脳神経外科 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - 10 12 19 51 98 142 283 323 118
こちらの指標は、当院に令和5年4月から令和6年3月までに退院された患者数で、入院された時点の年齢を10歳ごとに区分けして集計したものです。
当院は、病院理念に「脳神経外科としての専門性を軸に幅広い診療体制で地域医療に貢献します。」と掲げており、脳神経外科領域の疾患を中心とした医療の提供を行っています。脳卒中など発症しやすい40歳代から入院患者は増加しています。特に70歳以上の入院患者の割合は、年間入院患者数の約2/3を占めています。また、広島地区病院群輪番制病院に参加し、脳卒中をはじめ転倒や交通事故を原因とする頭部外傷、めまい症状の患者さんの救急搬送も受け入れています。

※集計結果が10件未満の場合は「-」で表示しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 88 37.24 15.70 4.55 *71.45
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 82 3.67 4.73 0.00 *68.11
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 76 11.58 9.88 17.11 *76.28
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 65 7.88 8.38 13.85 *69.12
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 50 11.70 7.19 10.00 *66.14
診断群分類は、「医療資源を最も投入した傷病名」を決定し、手術や処置の有無、併存症や合併症の有無によって細分化された14桁のコードで表されます。
脳神経外科において、患者数の多かった上位5つは、脳梗塞1分類、前庭機能障害(末梢性めまい症等)、頭部外傷2分類、てんかん1分類となっています。
患者数の最も多かったものは、脳梗塞で手術を必要としないもので、発症24時間以内にしか使用できない点滴(エダラボン)を使用して治療する分類です。
2番目に多かったのは、手術をしない前庭機能障害の分類です。めまい症状で頭部疾患を疑われ、頭蓋内病変を否定したのちに経過観察で入院されています。
3番目に多かったのは、頭部外傷の患者で、手術(主に慢性硬膜下血種に対して穿頭洗浄術を実施等)を行う分類、4番目は、頭部外傷の患者で、手術をせずに点滴などで経過をみていく分類、5番目は、てんかん発作を起こし点滴加療を行う分類です。
平均在院日数は、全国平均と比べると長くなっています。その原因として脳梗塞や脳出血などの疾患に対して、急性期の病棟で加療したのち、回復期リハビリテーション病棟等に移って引き続きリハビリを実施した期間が含まれているためです。また、急性期加療の後に患者さんおよびご家族の方の希望に応じて自宅近くの医療機関へ転院したり、脳卒中の加療中に、重篤な合併症を併発し、集中的治療が必要な場合に、総合病院などの高次病院への転院もあるため、一定の転院率があります。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - -
大腸癌 - - - - - -
乳癌 - - - - - -
肺癌 - - - - - -
肝癌 - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は、脳神経外科専門病院であるため、5大癌の治療は行っておりません。
ただし、入院中の患者さんで5大癌をはじめとした癌が見つかった場合には、速やかにがん治療専門病院と相談して治療方針を決定していきます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 - - -
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
こちらの指標は、成人(20歳以上)の肺炎患者について重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。(※集計結果が10件未満の場合は「-」で表示しています。)
重症度は、日本呼吸器学会が定める市中肺炎ガイドラインによる重症度分類システム(A-DROPシステム)で分類されています。
市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎の事をいいます。また、A-DROPシステムは、年齢(Age)脱水(Dehydration)呼吸(Respiration)意識障害(Orientation)収縮期血圧(Pressure)の5項目にて重症度を評価します。
軽症は、「0点」、中等症は「1~2点」、重症は「3点」、超重症は「4~5点」「ショック状態の場合は1項目でも該当」となっています。
当院でも、患者数は多くありませんが、肺炎患者さんの入院加療も行っています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 346 41.57 *76.56 14.04
その他 53 48.11 *75.96 2.01
こちらの指標は、脳梗塞で当院に入院された患者数を示しています。
脳神経外科専門病院である当院の脳梗塞患者数は、病院全体の入院患者のおよそ40%近くを占めており、最も多く診察しています。とくに当院では脳を栄養する大きな動脈(主幹動脈:内頚動脈や中大脳動脈など)が急に詰まった患者さんにたいして積極的に血栓回収術をおこなっており、24時間、365日治療対応をしています。脳梗塞症例の増加に伴い、血栓回収術も増加の傾向にあります。
脳梗塞発症3日以内の急性期の患者さんを最も治療しており、急性期治療が終わったのち、患者さんの状態に応じ、引き続き当院の回復期リハビリテーション病棟等へ移ってリハビリを行っています。そのため前述のように、急性期のみの病院の在院日数と比べると平均在院日数は少し長くなっています。
当院は、急性期、回復期リハビリ病棟ともに365日リハビリを提供しており、他の急性期病院からリハビリ目的にて転院されてくる患者さんもいらっしゃいます。
また、脳卒中の地域連携パスを他の病院と連携しており、脳卒中の治療分類において、急性期・回復期・維持期(生活期)とある中で、当院は急性期機能と回復期機能の2つの機能を有しています。
急性期の加療ののち、患者さん、およびご家族の方の希望に応じて自宅近くの医療機関への転院や、脳卒中の加療中に、重篤な合併症を併発し、集中的加療が必要な場合に、総合病院などの高次病院への転院もあるため、一定の転院率があります。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 50 2.02 13.62 22.00 *79.34
K178-4 経皮的脳血栓回収術 40 0.30 58.35 32.50 *79.15
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 11 15.64 14.27 9.09 76.27
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステントを用いるもの) 10 0.90 11.50 10.00 60.90
K1781 脳血管内手術(1箇所) - - - - -
こちらの指標は、脳神経外科において手術症例が多かった上位4つをあげています。
慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、「慢性硬膜下血腫」いう脳の外側にゆっくりと血が溜まる病気に対して、局所麻酔で穿頭して血腫を洗浄する手術です。
経皮的脳血栓回収術は、「主幹動脈(内頚動脈・中大脳動脈)の閉塞による急性期の脳梗塞」に対して行う血管内手術です。
当院は来院後、速やかに画像での評価を行い、24時間365日手術を行う体制を構築しています。
経皮的頸動脈ステント留置術は、首から頭の中に入っていく血管(内頚動脈)が狭くなっている(狭窄)患者に対して、ステントという特殊な網目状の金属の管を用いて、血管を広げ、脳梗塞の予防に繋げる手術です。
脳血管内ステントを用いる脳血管内手術は、従来の治療では困難な未破裂脳動脈瘤に対する、ステントを併用したコイル塞栓術や、フローダイバーターステントを用いた手術などがあります。

※集計結果が10件未満の場合は「-」で表示しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
こちらに示されているDPC(診断群分類)の特徴は、1日当たりの包括点数が他のDPCより高い設定となっています。
播種性血管内凝固症候群(DIC)は、診療報酬請求にあたり、診断基準に当てはまっているかを明示しなければなりません。
DPCは、最も医療資源を投入した傷病名を基準に点数及び日数が決まる事になっています。
当院は前年度に引き続き、最も医療資源を投入する傷病名としての請求はほとんどありません。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
18 14 77.78
『肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン』において、肺血栓塞栓症は,「手術後や出産後,あるいは急性内科疾患での入院中などに多く発症し,ときに不幸な転帰をとることから,その発症予防が非常に重要となる。わが国の肺血栓塞栓症(PTE)が発症した場合の院内死亡率は14%と報告されているが,死亡例の40%以上が発症1時間以内の突然死であるとされる」と明記されており、発症予防が不可欠されています。
このため、手術を施行する患者さんで肺血栓塞栓症発症リスクの「中」レベル以上に該当する場合は、「弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、抗凝固療法」の予防対策を実施します。
当院の令和5年度の実施率は、77.78%となっています。引き続き予防対策に努め、更なる実施率の向上に取り組みます。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
54 47 87.04
血液感染(敗血症等)を診断する目的で、血液培養が実施されます。血液中から原因微生物を捉え、最適な治療へとつなげます。
その際、診断制度を高めるために、複数セット(通常2セット以上)を採取します。これは、血液採取量が増えることによる血液培養の感度向上、及び皮膚表面の常在菌が検出された場合のコンタミネーションの判断に有用であるため、実施しています。
当院では2セット実施を原則としていますが、全身状態や血管の状態によっては、1セットしか採取できないこともあります。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
37 36 97.30
広域スペクトル抗菌薬の長期使用は、抗菌薬耐性菌を増やしてしまう可能性があります。世界中で耐性菌の問題は大きくなっています。
広域スペクトル抗菌薬使用前に、検体を採取し、細菌培養することによって、真の起因菌を同定する必要があります。
そして、状況によっては、狭域スペクトルの抗菌薬に変更(de-escalationという)し、広域スペクトル抗菌薬の長期使用による耐性菌の増加をおさえることが可能となります。
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